どうも、ほんまぐろです。
先日「全国同人誌転売流通会」と名乗る存在が「転売の自由」という名目で高らかに主義主張を述べている事が話題になりました。
https://togetter.com/li/1960975
引用:「同人誌に転売の自由を」を掲げる全国同人誌転売流通連絡会のnote記事が大炎上して謝罪ツイートするまでの一部始終
勿論SNSでは案の定炎上し、連絡会は謝罪&アカウント削除。
こうして転売の自由などと言う屁理屈は見事にへし折られ、界隈は平和を取り戻しました…
とはいきません。
この連絡会の一件に限らず、ここ最近「悪質転売ヤー」を擁護する人が非常に多く見受けられます。
擁護自体は昔から存在しますが、ここ最近は特にです。
今回はなぜ「悪質転売ヤー」を擁護する人が多いのか。
それがどういう危険を孕んでいるのか。
それらを個人の見解として述べていきたいと思います。
あくまで個人の見解ですので、的外れや大袈裟だと感じても生暖かい目で見てやってください。
- そもそもの「悪質転売」について
- 【Q】転売は資本主義における正常な経済活動では?
- 【Q】転売ヤーは単純にメーカーから買っているだけなんだから問題ないのでは?
- 【Q】転売ヤー同士が結託してる証拠でもあるの?個人で好きなもの買っているだけじゃ?
- 【Q】実際転売価格でも売れてるんだから最初からその価格で売らない企業が悪いのでは?
- 【Q】メーカーからすれば売れればそれでいいんじゃないの?
- 【Q】メーカーの在庫リスクを引き受けているんだから、メーカーからすれば有難いんじゃ?
- 【Q】買い占めできるくらいの数量しか作れないメーカーが悪い。そんなに転売がいけないならもっと大量に作れば?
- 【Q】頑張って購入したんだからマージンを取ってもいいのでは?
- 【Q】本当に欲しいなら努力して買うべきでは?
- なぜ擁護する?
- 悪質転売&擁護の危険性
そもそもの「悪質転売」について
そもそも「悪質転売」が良くないことは最早議論をするまでもありません。
転売ヤーの何が悪いのか、という事に関しては経済に関してずぶの素人である自分よりも経済学者の方の解説を見て頂くのが一番だと思います。
我々が批判しているのは「転売」ではない。
我々が批判しているのは「買い占めて値段を吊り上げる悪質な転売」である。
これらを踏まえて、ネットで散見される擁護派のテンプレートの如く繰り返す主張と、同じく散見されるそれに対する反論を纏めます。
【Q】転売は資本主義における正常な経済活動では?
【A】取引を単純化させる事で流通や在庫におけるメリットを生む商業者と違い、メーカーとユーザーの間にただ入り込んで利益を掠めとる悪質転売ヤーはただデメリットを生むだけの存在であり、正当な経済活動とは言えません。
ていうか経済活動ならちゃんと税金納めてますか?
【Q】転売ヤーは単純にメーカーから買っているだけなんだから問題ないのでは?
【A】ただ「メーカーから買って売るだけの転売」なら問題ありません。問題になっているのは転売ヤー同士で結託して商品を買い占め、供給を干上がらせて価格を吊り上げる「悪質な転売」が問題になっているのです。
企業がやれば独占禁止法違反という、ギンギンの法律違反レベルです。
【Q】転売ヤー同士が結託してる証拠でもあるの?個人で好きなもの買っているだけじゃ?
【A】組織的な繋がりは無くても「〇〇を転売したい」という統率された思考の元に一斉に行動すれば、それは結託しているとみなされても過言ではありません。
(というかバイトを雇って人海戦術を仕掛ける悪質転売ヤーがいる時点で何の言い訳にもなっていませんが。)
転売ヤーAさんとB君が他人でも、二人が同じ商品を買い占めて高値で売ればユーザーからすればそれは転売ヤーが(結果的に)結託して買い占めたのと道義です。
襲い掛かってきた熊がツキノワグマかヒグマかなんて関係ありません。
襲ってくる熊は等しく「危険な生き物」であるのと同じです。
【Q】実際転売価格でも売れてるんだから最初からその価格で売らない企業が悪いのでは?
【A】「その市場に対して供給企業が1社しかない状態」なら企業が悪いですが、実際は多くの企業が競争しながら市場を形成しています。
競争原理の中で最も利益を出し、且つ今後の展開も望めるラインを見極めているからこそメーカーはその価格を提示しているのです。
ソニーがPS5を希望小売価格100,000円で発表したらどうなるか?
想像すればわかるはずです。
【Q】メーカーからすれば売れればそれでいいんじゃないの?
【A】メーカーは一つの商品が売れればそれで終わりではありません。
その商品を起点として更なる別商品や関連商品を買ってくれる事を期待しています。ゲーム機ならゲームソフトやコントローラー、カードゲームならデッキケースやスリーブ等です。
その為に初期は敢えて原価ギリギリの価格まで落とし、購入してくれる層を広げる事も珍しい事ではありません。
3DSの値上げが一つの例です。
供給に対して買う人が少なく今後の展開が望めない事を危惧した任天堂は、発売からたった半年で10,000円もの値引きを敢行し、結果的に幅広いプレイヤー層の獲得に成功しました。
もし悪質転売ヤーによって買い占められた場合、その商品を諦めた人は必然的に関連商品も諦めます。ゲーム機本体が無いのにソフトだけ買う人はいません。
逆も然りです。
仮に30,000円のゲーム機を転売価格の40,000円で購入した場合、本来ソフトや周辺機器に使えるはずだった10,000円のお金が使えなくなる事を意味します。
それが積もり積もって、最終的には途轍もない額の「機会損失」が発生してしまうのです。
そうして売上が減少するとメーカーは生産を縮小・中止せざるを得なくなり、最終的には業界全体が衰退します。
- PS5が転売ヤー達によって買い占められる
- PS5本体が買えないからユーザーは別のゲーム機で遊ぶようになる
- メーカーはPS5用にゲームを作っても遊ぶ人がいないので作るだけ損をする
- メーカーはPS5を除外してゲームを作るようになるor保険を掛けてPS4でも発売する
- いつまで経ってもPS5のクオリティでゲームが遊べないので、ユーザーはPS5を見限る
- メーカーはPS5用にゲームを作っても(以下スパイラル)
という、今のPS5の現状が最も分かりやすい例です。
【Q】メーカーの在庫リスクを引き受けているんだから、メーカーからすれば有難いんじゃ?
【A】メーカーにとって在庫とは商品の売れ行きを観測する為の重要な指標です。
「今月は〇〇がかなり残っているから、来月は〇〇を重点的に宣伝していこう」
「今月は〇〇が非常に売れて在庫が少ないから急いで発注を掛けよう」
といった具合です。
もし悪質転売ヤーが商品を買い占めてしまうと、メーカーは「その商品に本当はどれほどの需要があるのか」が観測できなくなります。
そんな状態で「在庫がないなら人気商品に違いない!大量発注だ!」と供給を増やしても、それが市場に出回る頃にはユーザーが
「全然買えないから冷めたわ」
「もう別の商品買ったからいいわ」
「時間空けてよく考えたらそんな要らなかったわ」
「評判聞いたらクソゲーだったから要らんわ」
と、購買意欲が駄々下がりしている可能性が非常に高い。
そうすればメーカーは大量に余った在庫に囲まれて泣きを見る事になります。下手したら倒産です。
そんな具合に、メーカーの在庫と言う名の市場調査の要となる指標を根こそぎ奪う悪質転売ヤーはまさに「百害あって一利なし」でしかないのです。
【Q】買い占めできるくらいの数量しか作れないメーカーが悪い。そんなに転売がいけないならもっと大量に作れば?
【A】企業はボランティアで商品を供給しているわけではありません。
ユーザーの需要を満たしつつ自社の利益も確保する事が至上命題となります。そうでなきゃ倒産してしまいます。需要もクソもない。
だからこそ前述した在庫の様に入念に市場調査をし、増産におけるメリットやデメリットを精査したうえで製造工程を組むのです。
Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)→Plan(計画)…
俗にいう「PDCAサイクル」を繰り返して成長する企業に対して、そのサイクルの間に割って入って阻害するだけの悪質転売ヤーに「メーカーが悪い」なんてことをいう権利はありません。
そもそも悪質転売ヤーが居なければ「少ない供給」なりにそれを欲しい人が100%買えるわけで、悪質転売ヤーが入るだけでそれが50%やそれ以下の人にしか行き渡らなくなるからいけない。
悪質転売ヤーが100%悪い。
【Q】頑張って購入したんだからマージンを取ってもいいのでは?
【A】欲しい人が自由に買えるようになれば転売ヤーから買わなくて済む。
転売ヤーから買わなくて済むなら転売ヤーも買い占めに努力を割く必要がなくなる。
Win-Winでは?
マージンを取っていいのは頑張って作って頑張って売ったメーカーであって、何の関係もない一般人がそれを言う権利はありません。
あなたが頑張るのは自由ですが、それに企業や一般消費者の事情を巻き込んで迷惑を掛けていい理由はないと思います。メーカーと消費者の信頼関係で成り立つ経済社会において、転売ヤーが頑張る必要性はどこにもありません。
【Q】本当に欲しいなら努力して買うべきでは?
【A】悪質転売ヤーが居なければ努力して買う必要性は皆無です。
わざわざ要らない努力(デメリット)を一般人に課し、そのデメリットに対する対価を受け取る権利は悪質転売ヤーにはありません。
メーカーと消費者の信頼関係で成り立つ経済社会に(以下略)
とまぁ、批判されて叱るべきと分かってはいるが大抵は自分の行為を正当化する為にのべつ幕なしに屁理屈を並べ立てているだけです。
これらの意見は「悪質転売ヤーが嫌いな我々の都合のいい妄想」だと思う人もいるかもしれませんが、ネットで検索すればたくさん出てきますし実際に最近騒動になりました。
引用:HOBBY Watch「ホビージャパン、SNSで“転売容認”発言の編集者を退職処分に」
よりにもよって転売を否定しなければならない立場であるホビージャパンの編集者による発言で未曽有の大炎上を起こした挙句退職処分&上司の降格処分となった問題です。
このホビージャパン側の断固たる対応が「いかに悪質転売が業界にとっても許容できない問題か」を物語っているのではないでしょうか。
なぜ擁護する?
そんな悪質転売ヤーを擁護する理由はなぜか?
大きく分けて3つ存在します。
【1.自分が悪質転売ヤーだから】
これが最も大きい理由ではないでしょうか。
擁護しないと自分の身が危ない、という危機感から必死に正当化しているのではないでしょうか。
別に違法ではない以上、我々やメーカーが取り締まったりすることは出来ません。
でも、それなら正当化せずに大人しくコソコソとやっていて欲しい。というかやるな
あなた方がやっていることは人や社会に迷惑を掛ける害悪行為に他ならないんですから。
【2.炎上商法を狙っているから】
個人的にはこれが今主流になっている気がします。
SNSが発達し、転売ヤーの実態やその主張の脆弱性が露呈した事で「悪質転売ヤー=ダサくて迷惑な存在」という認識が主流になっています。
そんな状況で
「転売の何が悪いの?適正な利益を生み出して社会に貢献している良い存在でしょ?むしろ努力してるだけ普通の人より偉いじゃんw自分の努力不足を棚に上げて批判すんなww」
なんて言ったら大勢の人がこぞって否定しにかかります。
少しでも知名度が欲しい人が世間の意見に逆張りして注目してもらう、いわゆる炎上商法というやつです。
そんな「悪名は無名に勝る」を地で行く人々が声高らかに叫んでいるのではないでしょうか。
目玉商品(炎上発言)を手に取ってもらい、ついでに関連商品(他の記事や動画)を見てもらう
図らずも悪質転売ヤーが阻害しているメーカーと同じ行動をしているわけです。
物を売る事、知名度を得る事の大変さが分かるなら、なぜ他の人にやってはいけないという考えに至らないのでしょうか…分かっていてやっているなら尚悪い。
【3.特に何も考えていないから】
色々考えましょう。
悪質転売&擁護の危険性
そんな悪質転売ですが、それを放置、あまつさえ擁護し続けるとどうなるか。
一番の問題は反社会勢力の台頭です。
何を転売ごときで大げさな…と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実際2022年9月にIPhoneを転売しようとした転売ヤーが中国人グループに襲撃されるという事件が発生しています。
この中国人グループはiPhone転売により利益を得ていると言われる準暴力(所謂「半グレ」)のチャイニーズドラゴンであるとも言われ、組織が関与していた可能性も示唆されています。
今回は転売ヤーVS転売ヤーというアウトレイジも真っ青な構図だったので一般人には被害は出なかったものの、もし彼らが「真っ当に商品を買った一般人を狙いだしたら」と考えると非常に危険です。
1990年代に社会問題化したドラクエ狩りやエアマックス狩りが令和の世に復活するという事。
しかもチンピラのカツアゲ程度ではなく、半グレや暴力団が武装して襲ってくるという。
まさに世紀末です。
こうした情勢になる事を防ぐために我々が出来ることはたった二つ。
「悪質転売ヤーからは買わない」
「悪質転売ヤーを擁護する人には近づかない」
とにかく彼らに餌となるモノを渡してはならない。
転売ヤーであれば「お金」、それを擁護する人であれば「知名度」
旨味が無ければイナゴ彼らは別の畑へ旅立っていきます。
こうやって批判する記事を書くこと自体、彼らの術中にハマっているのかもしれませんが、かといって放置すれば何も知らない人が「悪質転売はそんなに悪い事じゃないのかな」となってしまう。
そもそも「転売」自体には違法性はないわけですし。
難しいところですね…。
やる(批判する)なら相手の土俵に乗り込んで直接批判したりせずに淡々と。
ただひたすらに「悪質転売は迷惑な行為であって、決して正当な経済活動ではない」という事だけ言うようにするべきだと思います。
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