どうも、ほんまぐろです。
Amazonプライムで配信された特撮「仮面ライダーBLACK SUN」
こちらを全話視聴しましたため、その感想を書いて参ります。
ネタバレ全開になりますので、10話まで未視聴の方はご注意ください。
では、参ります。
全体を通じて
非常にシリアスで重い作風でした…。
「怪人が当たり前に存在する世界」という、特撮やアニメ等では良く見かける光景・設定を現実世界に当て嵌めたらどうなるか。
まざまざと見せつけられました…。
- 差別ではない!区別だ!
- 差別ってのは人間同士で発生するもんだ!お前ら人間じゃねぇだろ(笑)
- あ!殴りました!今こいつ殴りましたー!骨折れたわー!
Etc…
怪人達への差別描写が非常にリアルで生々しくて、視聴開始10分で「あ、これ共存エンドないわ」と確信してしまいました。
更に怪人が通っている学校に乗り込んで妨害したり挙げ句の果てには未成年を集団リンチで殺害したりと、とにかく「見ていて不快になる描写」の描き方が非常に上手い。褒めてないけど褒めてますよ
差別主義団体のリーダー・ワタル役の今野浩喜氏による演技もまた絶妙にムカつくんです。
信彦の菩薩掌一撃で頭が飛び散った時は思わずガッツポーズ
この差別描写や女子中学生を国連でスピーチ、ラストで総理大臣が語っていた「戦争法案」等
現実世界でも見受けられる問題が、監督の思想がかなり入った状態で描写されていたと感じました。
この辺は見る人によって賛否両論だと思います。
仮面ライダーBLACKというリブート作品でこういう問題を扱って欲しくないって人が出てくるのもわかる気はします。
というより今作は邦画的な演出や雰囲気が多分に取りれられていたので、特撮感はあまり感じられなかったですね。
監督が特撮畑ではないのでしょうがないですが。なら最初からそんな人起用するな!と怒る人の気持ちも分からないでもない。
その割に原作であるBLACKのオマージュは多く見受けられたと思います。
総理が値踏みしていた怪人リストの写真やメビウスの輪を改変してBLACKのマークにする等、原作ファンの方なら「おっ!」となったのではないでしょうか。
極め付けは最終話冒頭。
まさかの原作OP完全再現…!
今までドシリアスな雰囲気だったのにいきなり軽やかに「俺のファンタジー…♪」って歌い出したので笑いそうになりました。
ちょっとやりすぎな気もしましたけど、まぁテンション上がったので許す。
グロ描写に関して
「ここは地上波じゃない!!アマゾンズ先輩に続け!!」
と言わんばかりのグロテスク描写の数々。
1話目開幕から少年の開腹改造シーンで始まり、記念すべきブラックサン初めての戦闘シーンでは腸ぶっこ抜きを披露する始末。
SUN値がゴリゴリ削られるんですよ…。BLACK SUN値
アネモネ怪人に踏まれて目玉が飛び出るシュンスケや葵ちゃんの怪人化手術シーン、それを無理やり見せられて咽び泣きつつ殺害される母親等、マジで救いも容赦もない。
R18は伊達じゃなかった。
主要キャラクターに関して
【南光太郎/仮面ライダーBLACK SUN】
西島秀俊さんが本当に渋くて格好良かった…!
正直西島さんって聞いた時は雰囲気合うのか?って心配してました。凄い温和で優しい人ってイメージだったので。
でも蓋を開けてみるとやさぐれたおっさんの渋格好良さが全開で、よくぞキャスティングしてくれた!と拍手を送りたいです。
満を侍して公開された変身ポーズの力強さったらもうね…!
「許さん…!!」
手袋ギチギチッ
変…身!!
最高です。
怪人になってからの壮絶な人生は激動の連続だったでしょうが、最後の最後に葵という守るべき存在を手に入れ、自分の生き様を継がせて散っていけたのは良かったのかなと思っています。
ラストまでの渋さ・荒々しさと最後の最後に見せた笑顔の優しさのギャップが最高でした…(泣)
【秋月信彦/仮面ライダーSHADOW MOON】
こちらも演ずる中村倫也さんの演技力が最高だった。
ていうか昭和のクソダサレトロファッションと髪型が似合いすぎてて笑った。
現代では幽閉されっぱなしで髪も髭も伸び放題だったのに鼻毛は伸びてないし眉毛はめっちゃ整ってるしで笑いました。
更に言うとカミソリ片手にメチャメチャ綺麗に仕上げてて笑いました。
俊介のリンチ殺害を機に人類と訣別し上位種へ取って代わる事を選び、シャドームーンへと完全変身するシーンは頭を潰されたワタルへのザマァも含めて非常に印象的です。
西島さんの「変…身!」とは違った最近のライダーっぽさが感じられる短めの「変身ッ!」がいい味出してる。変身ポーズもBLACK SUNと一見すると対称的に見えましたが、最後の方はちょっと違ってましたね。
それにしても昔の仮面ライダー特有の変身ポーズ、力強くてメチャメチャ格好いい。
昨今のライダーのように道具に頼らず、自分の力のみで変身する無理やり感と荒々しさが非常に熱かった。
光太郎との一騎打ちに敗れた後の渾身の「あの頃は良かった」という気持ちの吐露は凄く物悲しかったです。
【和泉葵】
ある意味(本当の意味?)での主人公。
今作で一番賛否両論分かれるキャラだったんじゃないかと思ってます。
冒頭では世界を相手に怪人と人間の共存を訴えてはいますが、まぁ「現実を知らないだけだよね」って話ですよね…。
所詮あの世界にとっては圧倒的に「上」の立場である人間の立場、凄く安全な位置から憐んでいるだけの「世の中を知らない存在」
その証拠に、いざ自分が怪人にされると分かると「怪人にはなりたくない!!」と思いっきり恐怖して拒絶していました。(まぁこれはしょうがないとは思いますが…。)
紆余曲折を経て国連に全てをぶちまけた時の演説は凄く説得力のある演説…というか画面越しに我々視聴者に訴えかけているようでハッとさせられました。
「フィクションだと思って他人面して見ているなよ」と
「お前らの世界にも当たり前に存在している光景なんだぞ」と
そうハッキリ言われてしまった気がします。
最後は創世王となってしまった光太郎を助けにゴルゴム党(凄い名前…)本部へ
突然の変身…!
おお…!と思ったけど唐突すぎて??となりました。
ラストは光太郎の意志を継いで成長…したと思ったんですが…
やっていることは身寄りのない少年少女(怪人?)を引き取って少年兵に仕立て上げるという…ね。
それ…
光太郎じゃなくて信彦の意志継いじゃってない…!?
最後はメビウスの輪をBLACKのロゴに改変した旗をおじさん怪人ズと見上げつつ「私達の戦いはこれからだエンド」
うーん…それで良いのだろうか?
開始10分で察した通り、一連の戦いを経ても和解エンドは無理だったなと納得はできましたけど…
この作品としては最終的に「他者との共存は不可能です。どちらかが滅ぶまで戦わなといけません」と言いたかったんでしょうか…。
難しいなぁ…。
【ビルゲニア】
良い意味で小物が似合う名敵役でした。
葵を怪人に改造したり新城ゆかりを殺してシャドームーンから恨まれたりと、見ていて非常にムカつく物語を進行させるのに必要な役を回してくれました。
最後は演説する葵を始末しに来た警官隊から彼女を守るべく1人大立ち回りを演じた挙句大往生。
実に見応えのある人生でした。
ただ、詳しくは後述しますけど怪人体の見た目はもうちょいどうにかならんかったのか?
原作は幼少時に見てほとんど記憶には残っていませんが、確か同じように見た目がダサすぎて凄い言われていた気がします。
そこはリスペクトしなくても…。
【俊介/雀怪人】
癒し枠。
見た目がとにかく可愛くて、殺伐とした今作における最高の清涼剤になっていました。
だからこそ惨たらしく踏みつけにされたり差別団体にリンチされたりと、物語のシリアスさを倍増させる役にピッタリだったというね…辛い…。
【堂波真一一派】
メチャメチャルー大柴で笑った。
絶対演技じゃなくて素でやってただけだろと言いたくなるほどに清々しいまでにルー大柴。
いつ薮からスティックって言い出すのかハラハラしてました。
そして絶妙に現実世界の政治家に似ていて…ね…。
誰がモデルかは諸説ありそうですが、少なくとも総理の隣にいたテラードーパント幹事長は間違いなく麻生だろうなとは思いました。あの太々しい感じとか
最後は小物ラスボスらしく惨めに死んで行きましたが、仮にも一国の総理の首が(物理的に)飛ばされてるのにあっさりし過ぎていて凄い違和感が残りましたし、その扱いはどうなんだ?とも思ったり。
まぁ国葬その過程はカットされて、その出来事を踏まえた上で怪人差別が止まらない世界になってしまったという事なんでしょうが…。
気になった点
何点か気になった点はありました。
そもそもキングストーンとは何か?
てっきり光太郎達の体内に埋め込まれているもので、だからこそ2人は特別なんだと思ったんですがそういうわけでもない様子。
恐らく「怪人を生み出す為の石を人類が開発して、その中でもとりわけ強力な力を宿した石の事」なんだろうと解釈しましたが、キーアイテムなら物語内でもうちょっと説明してほしかったです。
変身ベルトの存在やそれを使用した二段階変身に関しても、常識でしょ?と言わんばかりに何も説明されず、置いていかれそうになりました。
そしてもう一つ気になったのが「小道具の安っぽさ」
現実世界に忠実な設定なだけに「キングストーン」とか「三神官」とか名称が若干浮いていてきいなりました。
ビルゲニアの顔だけ出ている絶妙なダサさやサタンサーベルのおもちゃみたいな見た目等、もうちょい現代クオリティに合わせてアップデートしても良いのでは?というのが正直な感想です。
変身ベルトは現代に合わせてばっちり格好良くなってるわけですし。
総評
- 設定や名称・小道具の若干の違和感・安っぽさ
- 差別描写や総理の扱い方、新総理の考えから透けて見える監督の思想
- 全く救いのない、平和にならなかった終わり方
等々
気になる点はちょいちょいありましたが、それを補ってあまり有る面白さを堪能させて頂きました。
何より主演2人や葵を演じた平澤さん(なんと若干15歳!)の熱演がビカビカに光る作品だったと思います。
ただ、このストーリーを「仮面ライダーBLACKのリブート作品」として受け入れられるかどうかは視聴者によって分かれると思います。
個人的にはこういう世界観もありだなと思って楽しく観させてもらいました。
作品のキャッチコピーは「悪とは何だ。悪とは誰だ」となっていました。
人間と怪人、同等の知性を持つ存在がいる以上、決して相入れる事はありません。
それを有るゲームのセリフが表現していますので、それを書いて終わりたいと思います。
この世に悪があるとすれば、それは人の心だ。
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