どうも、ほんまぐろです。
時をかける少女やサマーウォーズで知られるアニメーション監督・細田守監督の最新映画「竜とそばかすの姫」を視聴して参りました。
今回はその感想を書いていきます。
ネタバレ全開となっておおりますので、未視聴の方はご注意ください。
映像の素晴らしさ
今作は細田監督の名を一気に広めたサマーウォーズ以来となる電脳世界がテーマとなっています。
サマーウォーズが上映されたのが2009年なので、12年も前の作品となります。
電脳空間の描写もその12年の年月を感じさせるように非常に進化していました。
主人公・すずの電脳世界「U」でのアバター「ベル」の歌唱シーン等も非常に印象的です。
後ほど調べて分かったのですが、ベルは「アナと雪の女王」や「塔の上のラプンツェル」等のキャラクターデザインを手がけたジン・キムさんが手がけているそうです。
ベルという名前や竜のデザイン等、今作自体が細田監督自身が影響を受けた「美女と野獣」を意識した作りになっており、西洋ファンタジーの王道を行く美女と野獣を
・日本の田舎
・電脳世界でのアバター
といった要素にうまく置き換えた「和製・美女と野獣」といった感じでした。
シナリオに関して
前作「未来のミライ」は登場人物の考えやストーリーの展開についていけず、途中で思考停止に陥り長考のうちに脳内暗転に入る事が多い作品でした(要約;途中で寝ました)
しかし今作は現実世界や電脳世界でのストーリーの進行具合が非常に明確で、非常に見やすかったです。
主人公すずが母の死をきっかけに現実世界に生きづらさを覚え、Uの世界で歌える事の喜びを知り覚醒していくシーン等、登場人物の心情をしっかり描写してくれたおかげで非常に安心して観ていられました。
Uの世界で初めてすずが歌うシーンは、後述しますが中村佳恵さんの歌唱力も相まってとてつも無い衝撃でした…。
BGM・楽曲の素晴らしさ
今作最大の評価点と言っても過言ではありません。
主人公・すずの声優として大抜擢されたシンガーソングライター・中村佳恵の歌唱力が本当に素晴らしかった。
声優としては正直微妙でしたが、そんな些細な問題は正直どうでもいいくらいに素晴らしい歌唱力。
終盤で竜の正体である虐待された少年を助けるために現実世界の姿を晒して歌うシーンは
楽曲の素晴らしさと映像の素晴らしさは勿論の事、中村さんの温かみがあって尚且つ脳髄まで響くような力強い、そして突き抜けるような高音等の歌声が合わさって思わず涙。
今作で中村佳恵さんという才能溢れる偉大な歌手を大ステージに引っ張り出してみせた事こそが、今作最大の功績と言いたくなるレベルでした。
気になった点
一番気になったのはやはりシナリオです。
前述した通り前作等に比べるとかなり安定して見ることは出来ましたが、全体的にイマイチ盛り上がりにかけるなぁ…というのが正直な感想です。
特に同じ電脳世界という設定を使用したサマーウォーズが娯楽映画として完璧な流れで非常に盛り上がる内容である為、どうしても見比べてしまいます。
そもそも電脳世界という設定もそんなに生かされていたか?という気がしなくもない。
サマーウォーズはデバイスの操作等でちゃんと現実から電脳世界へ働きかけている描写がありましたが、今作はイヤホンを耳に入れただけで世界が一気に変わっていた為、ぶっちゃけ異世界での出来事のようにしか見えませんでした。
というかあのイヤホンを耳に入れただけで感覚が全て電脳世界に繋がるとかメチャメチャ怖いと思う。
終盤の「50億人のアカウントから1人を見つけるなんて…」っていう流れもサマーウォーズで見た流れだし(ぼくらのウォーゲームと合わせて見たら実質3回目)、女子高生を単身1人で夜行バスにのせて助けに行かせるっていうのも違和感がすごかった。
相手は虐待疑惑が濃厚なヤバめのおっさんですよ?
ただでさえ案件レベルなのに1人で行かすとか忍くんもお父さんもドライ通り越してるって…。
歌の力を見せつけられた良作
とまぁ、気になるところはちょいちょいありましたが要所要所で盛り上がる要素やギャグシーンもキッチリ入れてきているので普通に面白いです。
そして何より今作は細田守監督の性癖が全面に押し出されていなかったのも非常に良い点。
最新技術を用いて作られた映像と監督の毒気こだわりをマイルドにした世界観
そして何より中村さんの圧倒的歌唱力が今作を十分な良作に引き立ててくれています。
以前プレイしたゲーム「ゴッドイーター2」に登場したあるキャラクターがこんな事を言っていました。
「現象的には、ただの空気の震えにしか過ぎない。」
「でも歌には、確かに力がある。」
「人の想いを増幅して遠隔にも伝達し、自分の限界を超える新たな力を生む…そんな力が。」
「旋律と律動、心と言葉、人の営み…」
「なんて素晴らしい、【感応現象】なのだろう…。」
まさにこのセリフの通り
感情をぶつけて心を震わせる事ができる「歌」という感応現象の素晴らしさを十二分に堪能する事ができる素晴らしい作品でした。
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