どうも、ほんまぐろです。
先日、ゲーマーにとって最も偉大な人物の一人でもある音楽家・すぎやまこういちさんが亡くなられました。
まず最初に、すぎやま先生のご冥福を謹んでお祈り申し上げます。
すぎやま先生と言えば日本が誇るRPG「ドラゴンクエスト」シリーズの楽曲を手掛けたことで有名です。
余りにも有名すぎて詳細を語る必要もないので省きますが、自分も現在に至るまで多くのドラクエシリーズに触れてきました。
その中でも特に思い出に残っているのが「ドラゴンクエストⅦ~エデンの戦士たち~」です。
ドラクエ史上屈指の異色作品と言っても過言ではなく、その内容は賛否で溢れかえっています。
今回はそんなドラクエ7の何が面白いか、何が良くないのか
等の特徴を踏まえつつご紹介していきたいと思います。
基本的にネタバレ有りなので、未プレイの方はご注意ください。
世界観
ドラゴンクエストシリーズは、その全てがファンタジーの王道を突き進むような純ファンタジー系RPGとなっていますが、本作も同様に中世のヨーロッパを彷彿とさせるファンタジーな世界観となっております。
ただしその他の作品と決定的に違う点があります。
なんとこのドラクエ7の世界にはエスタードと呼ばれる島しか存在しません。
その島に存在するグランエスタード城と城下町、小さな漁村フィッシュベル、そして壊れた遺跡
この3つしか存在していないのです。
なんという孤独感。
ただ本当に島一つしかないわけではなく、他の大陸は魔王によって封印されている状態。
そう、この作品のもう一つの凄いところは既に魔王の侵略がほぼ達成し終わっているという所なんです。
魔王「勇者に攻め込まれる?なら活躍する舞台事消しちゃえば発生しないよね?はい論破w」
なんという発想の転換。
エスタード島以外の大陸は石板として封印され、絶対に復活できないようにばらばらに割られた上に各大陸に隠される念の入れよう。
この魔王、危機管理能力が高すぎです。
ただまぁ、よりにもよって最後に残ったラストワンの島から勇者が生まれてしまう辺りビジネス運はかなり悪そう。
そんな形で隠された石板を遺跡内部の台座にはめる事で、封印された大陸の過去に飛ぶことが出来ます。
そこで封印を施した元凶を倒すことで封印が解け、現代の大陸が復活していくわけです。
この「石板探し→過去大陸へ行きボスを倒す→復活した現代大陸で石板探し→過去大陸へ」
というのがドラクエ7の大まかな流れとなります。
良い点
【バラエティー豊かなシナリオ】
今までのドラクエは勇者が魔王を倒すというゴールに向けて一貫している為ストーリー的には一本道が殆どでした。
しかし7は封印された大陸ごとのボス討伐が目的である為、封印された経緯やされ方、解決方法等が実に豊富に用意されています。
既存のドラクエ作品を1冊の長編小説とするならば、ドラクエ7は複数のエピソードが詰まったオムニバス小説と言えます。
ボスによって家族を人質に取られ、家や畑を自身で壊すよう命じられた世界
伝統行事の最後に行われる儀式を悪用して滅ぼされそうになっている世界
突然現れだした機械兵と血みどろの戦争を繰り広げている世界
住民が突如動物になってしまった世界
知らず知らずのうちに同じ1日を繰り返している世界
住民全員が石と化している世界
魔王そっちのけで惚れた腫れたの昼ドラをやらかしている世界
etc、etc…
実に多種多様なシナリオを堪能する事が出来ます。
【魅力的なBGM】
亡くなられたすぎやま先生が全ての楽曲を手掛けております。
ハードがスーファミからPSへ移行したことにより、性能も大幅にパワーアップ。
管弦を主体とした豪勢なオーケストラサウンドを堪能できるようになりました。
フィールド曲の「足取りも軽やかに」は曲名の通りの軽やかな曲調で聞いていて楽しくなり、村のBGM「安らかな日々」や町のBGM「憩いの街角」等も非常に癒される名曲です。
雑魚戦の「血路を開け」は壮大さと軽快さを上手く織り交ぜた絶妙な曲調。
ボス戦の「強き者ども」は出だしから鳴り響く強気な音が嫌でも緊張感を煽ります。
これらの曲を全て手掛けてくださったすぎやま先生には、本当に感謝してもし足りません…。
本当にありがとうございました。
気になる点
長い
この一言に尽きると思います。
ただただ長い。
石板に封印された大陸は20近くにも及び、初見で普通に攻略すると100時間以上は軽く飛びます。
しかも一度のシナリオで何度も過去と現代を往復する必要がある場合も存在する為、余計に時間がかかる。
特にげんなりしたのが「ルーメン」という町。
- 過去のボスを倒して現代へ行くも何故か滅亡したまま
- 再度過去へ行くと別の元凶がいる為倒す
- 現代に戻ってもまだ滅亡したまま
- もう一度過去へ…
何回やらせんだよ…
いちいち神殿に戻って過去に飛ぶの面倒臭すぎんだよ…
そんなに過去と現代を行き来させたいならデロリアン持って来いと心の中で怒っておりました。
子供の頃は購入できるゲームも少なかった為、この長さを「まだまだ遊び尽せる」と喜んでおりました。
今だったら恐らくルーメンの2回目辺りでディスクを遠投します。
暗い
前述したとおりこの世界は既に魔王による支配が99%完了しています。
その為過去の世界は大半が悲惨な状態。
大人・子供問わず人が履いて捨てるように死んでいく情勢の世界も少なくなく、見ていて非常に鬱になる。
そのような状況の町では高確率で「哀しみの日々」という哀しさ極まるBGMが流れている為、町に入ると「またこの曲か…」とゲッソリします。
https://www.youtube.com/watch?v=cohzAacMb_g
村人の裏切りで死んだ村の英雄の妹が呪いで魔物になる。妹は村の女性を拉致して人質にし、男たちに自分達の村を破壊するように命じ復讐をする。
何も知らない主人公達は村の為に妹を倒そうとする。
しかし妹は既に人の心を取り戻して後悔しており、主人公達がいくら攻撃してもひたすら悲しい目をするだけで何もせずにただやられる…。
最初に冒険する大陸からこの鬱っぷり。
なんすかそのスタートダッシュ?アクセルもブレーキも壊れすぎでしょ。
時々明るい雰囲気、明るいBGMの町につく事もあり、「お、ようやく明るいシナリオか!?」と期待に胸を膨らませても、大抵はその裏で元凶の悪事が進行しており、結局は鬱展開に加速していくという罠。
心が持たない。
なら封印が解けた魔物が存在しない現代なら平和そのもの…!
と思いきや、男女の醜いドロドロを描いた昼ドラも真っ青の愛憎劇や、過去の戒めを捏造しつつ主人公達を嘘つき呼ばわりする村が存在する等、油断していると脇からブッスリと刺されます。
人類に逃げ場なし。
バランスが悪い
突然変異的に難易度が高いボスが登場するのはRPGにおいてよくある事ですが、ドラクエ7はその傾向が顕著です。
中盤とは思えない鬼の様な難易度で主人公達を狩りに来きます。
特に有名なのがヘルクラウダー
2回行動で全体攻撃を連発→全滅という漢らしい風格を魅せつけてきます。
かと思いきやお供である雑魚を5.6匹呼び、ラリホー連発で眠らせてきた後にタコ殴りするという小賢しいスネ夫スタイルも持ち合わせている始末。
慈悲もない…。
そんなボスを必死に倒し、次の町ではもっとやべぇ奴が来るのか…とビクビクしていたらのび太みたいなくそ雑魚ボスが出てきて拍子抜けしたりと、色々とバランスが悪かったです。
更に敵側だけでなく味方側のバランスの悪さも顕著。
今作では職業によって覚える特技の大半は消費MP0
その癖に魔法よりもはるかに強力だったり使い勝手のいい特技が多く、完全に魔法の必要性がありません。
「まだガラケー使ってんの?w」みたいな勢いで魔法が馬鹿にされているドラクエなんて見たくなかった…。
特に「つるぎのまい」と「どとうのひつじ」は文句なしのイカレ性能を誇り、ラスボスである魔王はこれらに対する耐性を持っていないことも相まって魔王の前で踊りまくる勇者や羊の群れに押し流されて死ぬ魔王といった、ドラクエじゃなくてアラレちゃんだろと言いたくなるようなシュールな絵になっていました。
個人的にはおすすめ
とまぁ、気になるところも多くあり、賛否両論になるのも頷ける異色作ですが、個人的には非常に気に入っております。
ドラクエシリーズ最後の2D作品であることやBGMの素晴らしさ、バリエーション豊かなシナリオ群等、遊びごたえは文句なしの満点です。
今なら戦闘バランスやバグ等が修正された3DSのリメイク版も発売されている為、そちらをお勧め致します。
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