なぜMOTHER3は賛否両論となったのか?評価・解説(ネタバレ有り)

どうも、ほんまぐろです。

先日はニンテンドーswitchオンラインにて配信開始されたMOTHER2に関する記事を書きました。

今回はその続編となるゲームボーイアドバンス用ソフト「MOTHER3」に関する記事を書いていきたいと思います。

このMOTHER3、前作である2と比べて賛否両論渦巻く作品という事でなにかと話題になっています。

MOTHER2がたいていの人が楽しめた傑作であるが故に、より否定的な意見が目についてしまうという事もありますが…。

いったいなぜここまで賛否両論な作品になってしまったのか?

今回はその事について分析していきたいと思います。

 

※個人の見解と感想になりますので、あくまでも参考程度とお考え下さい。

MOTHER3の内容はネタバレ全開ですので、あらかじめご注意ください。

 

煽られた期待感

そもそもこのMOTHER3は当初ゲームボーイアドバンス(以下GBA)ではなく、ニンテンドー64用ソフトとして開発されていました。

https://www.1101.com/nintendo/nin13/nin13_2.htm

引用:『MOTHER3』の開発が中止になったことについての
糸井重里・岩田聡・宮本茂の座談会 その1

その後諸事情により開発中止となり、紆余曲折を経てGBAでの開発が決定されました。

前作から10年以上もの年月を経て発売の報を受けたファンは、一度開発中止となった事もあって歓喜に沸きました。

ファン的には一度潰えた思い出の名作の続編が再び蘇るんだから、期待しないわけがないですよね。

自分も最近同じ気持ちをチョコボGPで味わって裏切られたので、その気持ちはよく分かります。

 

前作とのギャップ

そうしてファンの期待を一身に受けて発売されたMOTHER3は、色々な面で前作とは大きく異なった内容となっていました。

 

【世界観】

まず大きく異なったのが世界観。

MOTHER1や2ではアメリカの田舎町を彷彿とさせる、カントリーな世界観が表現されていました。

ところが今作は、ノーウェア島という架空の異世界を舞台としたファンタジー的な要素が前面に押し出されていました。

MOTHER2でもファンタジー要素は勿論ありましたが、あくまで「現実世界での冒険」を盛り上げるエッセンスとして機能していたに過ぎません。

ビジュアル面でも前作2は建物が斜めから見下ろされている非常の特徴的な画面でしたが、3は普通のRPGにあるようなトップビューに戻ってしまいました。

こういった点から今までのシリーズに慣れ親しんだファンであればある程「MOTHERらしくない」という違和感を抱いてしまう事になってしまったのです。

 

【シナリオ】

MOTHER2ではイーグルランドを舞台にシュールで愉快な冒険が繰り広げられました。

シリアスな部分やホラーチックな面もあるものの、全体的に明るくポップな作風でした。

しかしMOTHER3では一転。

重く、暗く、シリアスなストーリーが繰り広げられます。

勿論糸井節が炸裂するシュールな場面も非常に多くあります。

が、前作以上に強化されたストーリー性と、その要所要所が悉くシリアスな為どうしても目立ってしまいがちです。

 

主人公一家が平和に暮らす村に謎の集団がやってきて、森の生き物たちを無理やり改造し化け物に変えてしまいます。

その化け物に襲われて母親が死亡。(改造された化け物は主人公達と仲の良かった恐竜の親子というおまけ付き)

かたき討ちに向かった主人公の兄も返り討ちに合い死亡。

母を殺めた恐竜の牙を使って父親が敵を討つが、殺された恐竜は涙を流しながら死んでいき、それを見た恐竜の子供が父親に殺意を向けて1章は終了。

 

 

 

開幕から飛ばしすぎでは……??

マラソンに参加する気構えだったのにシャトルランに参加させられたようなギャップに心が付いていかず、折れるプレイヤーが続出。

1章以降も

  • 謎の集団によって平和だった村は一気に近代化し主人公とその父親は除け者にされる
  • プレイヤーキャラであるサルが恋人サルを人質にされ悪事に従事させられる
  • 死亡した兄が改造されて敵の手駒として動く
  • そんな兄と血みどろの戦いを繰り広げる主人公

etc…

忘れたころに飛んでくるシリアスがプレイヤーの心を追い詰めてきます。

そんなシリアスが頂点に達したのが中盤で訪れる事になる「タネヒネリ島」というマップ

この島で毒キノコを食べた主人公達は幻覚に苛まれる事になるのですが

その幻覚の内容が掛け値なしにトラウマ。

死んだ兄が主人公に恨み辛みをぶつけてきたリ

主人公達を支えてきた仲間たちが非難や侮蔑の言葉を投げつけてきたリ

主人公の父親が錯乱していたり

道中に生えているポストからは「物凄い叫び声をあげた」だの「1000匹のネズミの死骸が入っていた」だの常軌を逸したテキストを読ませられたり

etc…

苦痛極まりないステージとなっています。

前作でもムーンサイドという異空間が存在し、そこでは訳の分からない幻覚じみた世界を見せられ困惑する事はありましたが…

あちらは「訳が分からない怖さ」であるのに対し、こちらは「訳も心情も分かってしまう」からこその怖さ・辛さ・悲しさがプレイヤーの心を掻きむしるという現実的な地獄を体験させられてしまうのです。

 

この「世界観」と「シナリオ」という二つの要素が、多くのプレイヤーが今作に対して否定的な意見を持つようになってしまった大きな原因なのではないかと考えています。

これがもしMOTHERとは関係のない独自タイトルであればまだ「挑戦的な作品…!」として多くの評価を得ていたと思います。(それでも合わない人には合わないですが…)

なまじ「MOTHER2という偉大すぎる傑作の続編」としてしまったばっかりに、前作と同じような冒険を楽しめると期待していたプレイヤーがそのギャップに付いていけず折れてしまったんだと思います。

 

MOTHER3はクソゲーなのか

ではこのファン期待に完璧に堪える事が出来なかったMOTHER3はクソゲーなのか?

と聞かれると

 

 

決してそんな事はありません。

MOTHERもMOTHER2も楽しんだ身として言わせてもらうと

 

超・名作です。

その名作たる所以を紹介して行きます。

 

【シナリオ】

前述したように全体的に重く鬱なシナリオとなっていますが、その合間にはMOTHERシリーズの真骨頂である糸井節が炸裂するシュールなストーリーやテキストが大量に挟まれています。

NPCも糸井節全開なセリフを喋る人物達ばかりで、前作の大きな魅力でもあった「無駄のない無駄」を存分に楽しむことが出来ます。

海中ステージに酸素補給の名目でおっさん人魚にキスさせるなんて頭のイカレたシュール極まる要素をぶっこんで来るゲームなんてそうそうお目にかかれません。

そして今作のシナリオには全編を通じて「愛」が核として存在します。

死してなお主人公達を助ける母親の無垢な愛情を描く「親子愛」

主人公と改造された兄の対決と和解、そして別れを描く「兄弟愛」

他にも家族愛や師弟愛等、様々な形の愛が登場します。

これらを核としたストーリーは暗く重い反面、非常に感動的です。

ラストバトルである主人公と兄の対決は演出のせいで涙なしでは進められません。

自分は嗚咽を漏らしながらボタンを連打していました。

 

【サウンドバトル】

MOTHER2では「ドラムロール式HP」という画期的なシステムが導入されましたが、今作でも画期的なシステムが導入されています。

それが「サウンドバトル」

これは戦闘BGMのテンポに合わせてリズムよくボタンを押すことで通常攻撃が連続攻撃となり、最大16連までのコンボ攻撃を行う事が出来るというシステムです。

リズムも単純なものから曲調毎にリズムや拍が異なるなど非常に凝っており、「敵によって戦闘BGMが変化する」というMOTHER2の特徴を上手く利用した画期的なシステムだと思います。

戦闘BGM自体もMOTHER2に勝るとも劣らないクオリティの曲ばかりで、一度聞くと忘れる事が出来ないくらい印象に残る曲ばかりです。

 

オンラインでの復活を希望

以上が自分の考えるMOTHER3の良い部分と悪い部分です。

あくまで個人的な感想ですので、もっと違う感じ方をする方もたくさんいらっしゃると思います。

ただ、どんな形であれ心に深く刺さる濃厚なストーリーが体験できる事は間違いありません。

いずれにせよ食わず嫌いで放置しておくには非常に惜しい作品ですので、シリーズファンもそうでない人もぜひプレイして頂きたい。

現在このMOTHER3はWii UのバーチャルコンソールでのみDL・プレイが可能となっています。

正直Wii Uを現役で使っている人はかなり少ないと思います。

なので

ぜひswitchオンラインにGBAを追加する別料金プランを設定して頂きたい…!

個人的にはかなり希望しています。