どうも、ほんまぐろです。
2023年6月30日に発売された「超探偵事件簿 レインコード」
こちらをクリアしました為、今回は各章の感想を書いて参ります。
最初に言っておきますが各章のネタバレ内容が多分に含まれておりますので、未プレイ・未クリアの方はご注意下さい。
ネタバレ無しの記事はこちらをどうぞ。
全体としての評価
まずゲーム全体を通じての評価ですが、個人的には非常に満足できる名作でした。
ダンガンロンパシリーズの生みの親である小高氏の手腕が如何なく発揮されたストーリーを味わえます。
特に最終章である5章は小高氏にしか出来ないタネが仕込まれており、個人的に「やられた…!」と衝撃を受けました。(詳しくは後述)
キャラクターに関してもダンガンロンパシリーズに負けず劣らずの濃さを誇っております。
0章で超探偵達が打ち切り漫画終盤の在庫一斉処分が如く全滅して一体どうするんだろうと思いましたが、その後に登場した4人の超探偵達も非常に個性的なキャラクターで、ストーリーを盛り上げてくれました。
今にして思えばこの時点で小高さんの術中にハマっていたわけですよね。
「これだけ個性的なキャラ付けされた超探偵達が序盤で全滅するわけがない」という先入観を逆手に取るという。意地悪だけど。
そして本当に素晴らしかったのが死に神ちゃんというキャラクターの存在。
ビジュアル・キャラクター性・声の良さ、どれを取ってもここ数年のゲームキャラで最高レベルと言っても過言ではないレベル。
人モード時の可愛さは勿論の事、フワフワモードの時もビジュアルがコロコロ変わって非常に可愛らしかった。
下ネタセリフ的には受け付けない人がいるかもしれませんが、ダンガンロンパV3の入間さんという超高校級の下ネタを乗り越えられた人には何も問題ないと思います。
ただ、何点か気になる点もありました。
まずはロード時間の長さ。
エリア間の移動で十数秒のロードが入るのは当たり前として、推理デスマッチ開始前なんかは数十秒のロード
特に最終決戦は1分近いロードが入ります。
対決前のロード画面がノイズ風なのも合わさって本当にバグったんじゃないかとヒヤヒヤさせられました。
もう一つはQTEの厳しさ
イベントシーンや謎迷宮では所々QTEが発生するのですが、その時間がかなりシビアです。
ムービーやセリフに集中しているとまず間違いなく押し損ないます。
バイオハザードの様にアクションゲームがアクションの合間に入れてくるのであればまだ反応できますが、ストーリー重視のアドベンチャーゲームにQTEを入れるのは如何なものでしょうか…。
重要なシーンで集中したいのにQTE来るかも…と脳裏にチラついて集中できない事がままります。
他にも推理デスマッチの難しさ(忙しさ)や処理落ち・カクツキの多さ等、決して無視できない粗はありましたが、前述の通りそれを補って余りあるストーリーの良さのおかげで総じて満足できる名作でした。
第1章:連続密室殺人鬼クギ男
初っ端という事もあり、トリックは割と簡単に分かりました。
でも「ドアの上の隙間から鍵を死体の下にまで投げ入れて~」ってサラッと書いてあったけど、そのコントロールは異常だと思います。アポアポ聞こえてくる…
ただ、クギ男の信者が行った第三の殺人に関しては、そもそもあの男はなんで女性を殺害したのかって情報出てましたっけ…?
クギ男の殺害方法に見立てたのは信者だからっていう理由で分かりますが、最初から殺すつもりなら殴らずに絞殺にしておけばよりクギ男の仕業に見せかけられるはず。
となると突発的に殺害してしまったので仕方なくクギ男の殺害に見せかけたんだと思いますが、その辺の理由がどうにもはっきりしていなかった気がします。
メタ的に言うと「連続殺人の中に別の犯人による犯行が混じっているシチュエーション」をやりたかったからって話だと思いますが、動機の部分はハッキリして欲しかったなぁ。
ハララさんの過去視能力は一見メチャメチャ便利ですけど、本人が言っているようにそれを第三者に説明しないといけないのであまり使えなさそう。
ハッタリかましてるだろ!ってゴネられても証明しようがないですしね。
ちなみに第一発見者が人間以外だったらどうなるんだろう。
仮にネズミやゴキブリの視点になったら詰みそうなんだよなぁ。
第2章:暗黒少女の沈黙
のっけから青少年の性癖をぶっキルしていくスタイル。
ユーマ君って慎重150cmくらいなんですね。
ダンガンロンパの主人公・苗木誠君が160cmとかなりの小柄だったので、ユーマ君はそれよりも更に小柄な体型です。日向?身長180cm胸囲91cmのラガーマンに用はねぇ
そらイケるわ…。
なんなら隣にいる見た目女性・声デスヒコ状態でもイケる。
序盤の犯行シーンでの服毒からの吐血が妙に気合入っていて怖かった。
真相としては「容疑者全員がグルになった完全犯罪」というパターン。
最初は分かりませんでしたが、最初の謎迷宮で「限りなく黒に近いけどコイツじゃ出来ない」ってなった瞬間にピーンときました。
小説版「刑事コロンボ」で似たトリックを知っていて良かったぜ…。
「それぞれの迷宮の壁を崩して一本の通路にすることで初めて真実までの道が開ける」という演出が非常に良かったと思います。
今回の犯人達は「親友を殺された復讐」という理由がある分非常に同情できてしまうので、謎迷宮のルール(暴かれた真犯人は死亡)が非常に重く辛かったです。
どんな理由があるにせよ殺しはダメ。それはわかるけども…。
なんともモヤるなぁ…。???「それも全て保安部ってやつのせいなんだ。」
クルミちゃんは初登場時からずっと可愛くて非常に好きなキャラクターでした。
2章限定バディーズかと思いきや、まさかのエターナルバディーズ化とは思いませんでしたが。
第3章:探・偵・失・格
マーグロー推し。
どうも他人とは思えない親近感があります。
正直一番簡単だったかもしれない。ぶっちゃけ0章よりも簡単だった。
サーバンが溺れた体験がトラウマだのマルノモン地区の水没だの、やけに水関連を強調している時点で水泳が得意なイカルディが超怪しい。
更に拳銃の構造の件で実際に拳銃を造ったイルーカさんは除外、マーグローも絶対犯人じゃないという確信がほんまぐろには直感であった為、もうイカルディで決定です。
ただ排水口の件が最後の最後まで出てこなかったので、どうやって逃走したかの部分は正直分かりませんでした。
あんなん最後に出すのずるいって…。最期じゃないと丸わかりだからしゃーないけど。
フブキさんの能力は作中でも言われている通りダントツでチートです。
バトル漫画だったら真っ先に扱いに困って殺されるか退場するキャラ。
今作では時を戻す条件として体力を使う事、戻せる時間がそこまで長大ではない事、思考能力が落ちて日常会話のキャッチボールができない事等がありましたが、それでも非常に強力な能力でした。
QTE絶対成功させるウーマン。
第4章:キミのすべてが0(零)になる
物語が大きく動き出した回でした。
正直この章はトリックも犯人も最後まで分かりませんでした。
そして謎迷宮を攻略していくにつれて少しずつ浮き彫りになる犯人像に「えっ…(絶句)」となりました…。
この感じはアレだ。
ダンガンロンパV3の1章で〇〇が犯人だと気が付いてしまった時の衝撃と同じだ。
確かに死ぬ覚悟を持った所長が犯人だとすると全てに辻褄が合うのが凄い。
毒ガスはただ浴びてしまえばいいし、高圧電流は喰らってもフブキの能力で戻るだろうから問題なし。
覚悟決まりすぎです。
「時を戻す」っていう大抵のクリエイターが持て余す能力をしっかり活用している辺り、小高氏の実力が窺い知れます。素晴らしい。
所長はずっと手紙を読む伏線を貼っていたので何かあるとは思っていましたが、こういう結末を迎える事になるとは…。
そこまでして早乙女ウエスカ博士を殺したかった動機も、回想シーン等が入らず多く語られなかったのが逆に怖いですね。
ある意味ギンガナムのようなキャラに豹変して死んでいくなんて事にならなくてよかったとは思う。
ずっと復讐をすべきか迷っていたところに「動機(ヨミーからの手紙)」と「手段(超探偵達)」が揃ってしまった時の所長の心境はどのようなものだったのか。
想像ではありますが、本当に最後まで苦しんでいた気がします。
だからこそ贖罪も込めて「自身の死」という方法を躊躇なく選べたのかもしれません。
そして今章のもう一人の主人公・ヴィヴィアの探偵能力はフブキに匹敵するレベルでチートでした。
なんでフブキみたいに持て囃されてないのか。
容疑者一人一人に「お前のやったことは全てマルっとお見通しだ」って手紙を送ってその反応を幽体で見ていれば大抵の未解決事件は解決してしまいそう。
彼も彼で心の中では探偵事務所の居心地の良さに安心し、守りたいと思っていたんだなと思うとより好きになります。
でもTIPSでコートの下は包帯巻いているだけのほぼ全裸みたいな事書かれてたのでそこは改めた方がいい気がします。
第5章:そしてボクもいなくなった
最終章だけに衝撃の連続でした。
まずサイバーパンクな世界観から急にSIRENの様な世界観になったこと。
そしてバイオハザードしだした事。
ホムンクルスという単語は少し前から出始めていましたが、まさかゾンビだとは…。
ホムンクルス=ゾンビと言う解釈は今までにないものだったので新鮮でした。
ユーマ達が探っていた【カナイ区最大の秘密】の真相はこう。
ホムンクルスとは人のDNAを核として人工細胞で培養した人造人間。
死んでも細胞がリセットされて再構築される為不死の存在。
統合政府はホムンクルスを軍事転用する為アマテラス社へホムンクルス製造を依頼。
同時に別機関にも研究を依頼し、互いを競わせることで研究の促進を目論んでいた。
そして遂に別機関は1体の完全なホムンクルス製造に成功。
焦ったアマテラス社は功を急ぐあまり無謀な実験を行う。
それは一体でもいいので成功例を作り出す為に「カナイ区の住民全員のホムンクルスを造る」事であった。
アマテラス社は伝染病の予防と偽って住民全員から採取した血液を基にホムンクルスを製造。
しかし、完成したホムンクルスは重大な欠陥を二つ抱えていた。
一つは日光に弱く、紫外線に起因したアレルギー反応を起こして狂暴化してしまう事。
もう一つは死亡後再構築された時点で知能が著しく低下し、唯一の栄養源である動物性たんぱく質—人肉を捕食する為に無差別に人を襲うようになる事。
実験により生み出された大量のホムンクルスは日光により暴走し、カナイ区の住民を全て殺害してしまう。
機関により生み出された唯一のホムンクルス成功体であるマコト=カグツチは機関を脱走後にカナイ区へ向かい、開発した雨雲発生装置による雨雲でホムンクルスたちを鎮静化。
こうしてカナイ区は雨が降り止まない街となった。
更にアマテラス社最高責任者に抜擢されたマコトはオリジナル(世界探偵機構No.1であるユーマ)と同じ素顔である事を利用して世界探偵機構をも操り、カナイ区へ凶悪犯罪者の死体を定期的に搬入。
死体を利用して製造した肉まんでカナイ区の住人達の食料を確保し、更に統合政府との交渉でカナイ区を鎖国状態にし、ホムンクルスたちが安心して暮らせる世界を造ろうとした。
ソイレントシステムの悪夢再び…
肉まんは肉まんでも人肉まんて(絶句)
マコトの正体がユーマのホムンクルスっていうところまでは早々に分かりましたが、まさかクルミちゃんや所長を含めたカナイ区の住民全員がホムンクルスと入れ替わっていたとは全く予想しておりませんでした。
更にこのホムンクルスの大きな特徴が「血液がピンク色である」という事。
そう。
ここで自分はやられました。
ダンガンロンパシリーズでも血の色がピンク色でしたが、その主な理由としては
- CERO区分が「D」である為、直接的なグロ・残虐描写を回避
- シリーズの特徴である「サイコポップ」を強調
等のメタ的な理由でした。
それに慣れきった自分はついこう思い込んでしまったわけです。
「ダンガンロンパシリーズの小高氏が作ったゲームなんだから、血の色がピンクなのは普通」であると
そんな先入観や思い込みを逆手に取った、
作品の垣根を越えて仕掛けられた壮大なトリック。
見事としか言いようがないです。
しかもホムンクルスの血の色が変であることは最初から描写されていたんですよね。
謎迷宮でユーマから噴き出した血の色はちゃんと「赤」ですし。
クギ男事件で最初に死体を目撃した時のユーマのセリフもそう。
プレイヤー的には異様な光景の死体に取り乱しているようにしか見えませんが
ユーマ「作り物の人形…じゃないよね!?(血がピンクだし)」
ユーマ「この血も全部本物なの?(ピンクだよ?)」
死に神ちゃん「いちいち(死体如きで)大げさだなぁご主人様は。慣れなよこれくらい!」
ユーマ「そんな…こんな事(血がピンク)が普通なの!?」
死に神ちゃん「こんな事?(カナイ区での殺人事件の多さの事?)フツーだよフツー!」
鮮やかな叙述トリックです。
明かされるまで全く気が付きませんでした。
主語を明確にして会話する事の大切さよ
じゃあ誰も血の色に違和感を感じなかったのか?という点にも「降り続ける雨の影響の可能性」というキッチリした(しかもサラッと目立たないように)フォローがなされています。
ここでも
「タイトルにもなっていてずっと降り続いている雨にはどんな伏線があるんだろう」
というプレイヤーの思考を利用して、血液から雨へ意識を誘導しているように感じます。
こういうストーリーが書けるからこそダンガンロンパシリーズは人気を博しましたし、本作は名作たりえるのでしょう。
ユーマの正体に関しても世界探偵機構No.1だろうなとは思っていましたが、本物の「探偵見習ユーマ」と入れ替わっていたというのは完全に予想外でした。
料理が得意なのに激マズだったって描写もしっかり伏線として活かされていたのは見事としか言いようがない。
本物のユーマ君のトリコのモブキャラみたいなビジュアルはもうちょい何とかして欲しかったかな…。
無駄に格好良くしてしまうとキャラが立ってしまい、プレイヤーに入れ替わりを疑われてしまうのでしょうがないとは思いますが。
そして物語ラスト、「カナイ区最大の秘密」によって作られた謎迷宮を「壊す」か「壊さない」かの選択肢。
- 壊さない→僕は残るよ。だからマコトが外に出てカナイ区の人に全てを打ち明けて、全員で考えて解決して欲しい。そして外から謎迷宮を壊して欲しい。
- 壊す→壊すよ。でも勘違いしないでね。マコトが外に出てカナイ区の人に全てを打ち明けて、全員で考えて解決して欲しい。そして外から謎迷宮を壊して欲しい
と、どちらを選んでも結果が変わらないのは正直残念でした。
ただ裏を返せば
- 結末は一緒→次回作が作りやすい
- 生き残った超探偵達やユーマ→次回作が作りやすい
- ユーマを追って街を出るクルミ→次回作が作りやすい
- 贖罪の為に働くマコト→次回作が作りやすい
- 連行されたままのヨミー→次回作が作りやすい
めちゃめちゃ次回作が作りやすいじゃないですか小高さぁん
超探偵と言う設定を活かしたキャラもまだまだ生み出せそうですし、TIPSに書かれていた「発明探偵」というのもまだ未登場では?
そして個人的に気になったのがダンガンロンパシリーズとの繋がりに関して
作中ラストで記憶を取り戻したユーマは死に神ちゃんとの約束である世界中の未解決事件解決を果たすべく世界中を飛び回っています。
その世界が行方不明やら強盗やら殺人事件やら、ちょっと殺伐とし過ぎている気がするんです。
荒廃した世界、荒れる人々…
どうしても「人類史上最大最悪の絶望的事件」を思い出してしまいますよね。
TIPにも「左右で色が違うクマ型アマたん」とかいう超不穏なメッセージが入って来る始末。
嫌でもダンガンロンパシリーズとの繋がりを連想してしまいます。
ただまぁ、小高氏自身が以前から「ダンガンロンパは一区切り」と明言しているように、今後ダンロンシリーズが復活ないしはレインコードと関わってくる可能性はかなり低いとは思います。
アマたんの下りもファンの為のお遊び程度でしょう。めっちゃ不穏だけど
なのでレインコード自体はダンガンロンパに囚われる事無く、ダンガンロンパに代わる新たなシリーズとして、是非続けていって欲しいです。
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