ADV屈指の傑作「十三機兵防衛圏」の魅力を紹介(ネタバレ無し)

どうも、ほんまぐろです。

アトラスより発売されたADV「十三機兵防衛圏」が2021年11月28日をもって2周年を迎えました。

おめでとうございます!

発売からもう2年も経ったのかという衝撃がちょっと大きい…。

しかし、2年経った今でも初めてプレイした時の感動が忘れられないくらいの名作であり、正直2019年に発売されたゲームの中でぶっちぎりに面白かった作品です。

今回はそんな十三機兵防衛圏の何がそこまで面白かったかをネタバレ無しでご紹介致します。

 

どんなゲーム?

そもそも「 十三機兵防衛圏 」はどんなゲームか。

2019年にヴァニラウェアが開発を務め、アトラスから発売されたゲームです。

ジャンルとしては所謂「紙芝居」系のゲームとなっており、

  • 決められたストーリーを進めていく「追想編」
  • 追想編を経て集まった主人公達による今の物語「崩壊編」
  • 二つのモードを補完するアーカイブとなる「究明編」

の3編を進めていくゲームとなります。

 

凄いポイント①「グラフィック」

まず目につくのがグラフィックの凄さ。

開発を担当したヴァニラウェアと言えば2Dグラフィックに定評のあるメーカーです。

過去作で言えば「朧村正」や「オーディンスフィア」、「ドラゴンズクラウン」等、どれも常軌を逸した美麗さを誇ります。

そんな長年かけて培われてきたヴァニラウェアの最新作「十三機兵防衛圏」のグラフィックは

西日の差しこむ穏やかな教室や夜の闇と電気が光り輝くビル街等、最早芸術の域に達しているレベルの美麗さとなっています。

しかも普通のADVであれば表示されるテキストをボタンを押して読み進めていくだけなのですが、今作は「実際にその場面に登場する主人公を操作してシナリオを進めていく」という画期的なシステムを擁しています。

画面の中で活き活きと動き回る主人公やモブ達により、物語への没入感がぐんと上がります。

個人的に衝撃的だったのが主人公の一人「冬坂五百里」がタイトルにもなっている巨大ロボット「機兵」を呼び出すシーン。

  • 無敵の女子高生は、今時ロボットだって乗っちゃうんだから!」という無駄にエモーショナルなセリフ
  • スカートをそっとたくし上げて機兵を起動する(太ももに起動する為のマーカーがある)
  • 時空を捻じ曲げて登場する武骨な鋼鉄の塊
  • 派手に飛び散り舞う窓ガラス

 

 

 

 

電撃走りました。

2Dグラフィック好き、ロボット好き、女子高生好きには堪らない1シーンです。

 

凄いポイント②「シナリオ」

ADVにおける最重要ポイントと言ってもいいシナリオ。

ここに関してもこの十三機兵防衛圏は凄い…というか他のADV作品とは一線を画す作品となっています。

 

  • 1945年・1985年・2025年・2065年・2105年の5つの時代に登場する13人の人物達が主人公。
  • 彼らは各々の時代で日常生活を送っていたが、ある日巨大な怪獣が襲来し人々を襲い始める。
  • 主人公達は紆余曲折を経て、怪獣達に立ち向かえる唯一の存在「機兵」に乗り込み人類の為に戦いを挑む。

 

というのが大まかな流れ。(前述した追想編にあたる内容)

大まかな流れと言いつつ追想編のほぼ全部を紹介してしまいましたが、そんなことではこの作品の凄さは微塵も表せません。

凄さを一言で表すと「複雑」

例えば13人のうち主人公Aを選択したとします。

そしてAのシナリオだけを読み進めていったとしても、物語全体の真相は一切判明しません。

それどころか、チャプター1では日常生活だったのに2ではいきなり遥か未来で戦っている話し、かと思いきや3では1より遥か過去の話し

4では全く別の主人公がメインの話しになっている等一見すると時代も場所も、キャラの設定さえもバラバラで意味不明です。

しかし別の主人公Bをプレイする事により

「あの時Aがここにいた理由はこれだったのか!」「Aがああなっていたのはこれが原因だったのか!」

といった風に疑問が一気に解決し、それと同時に今度は唐突に主人公Cが登場して「なんでここでCが!?」となる。

そしてCをプレイすると今度は別の時代にいるはずのDが…の無限ループ

 

この構成が本当に凄い。

13人という、ADVの主人公としては非常に多い人数の物語が複雑に絡まり合い、物語の根幹に向けて一気に収束していく。

 

この流れを一切の矛盾なく描ききっています。

 

 

シナリオライターの頭の中がヤバい。

 

大乱闘スマッシュブラザーズや星のカービィを手掛けた桜井氏は、このゲームを下記のように表現しました。

映画や小説のお話は基本的に”線”。サウンドノベルはそこに縦軸を加え平面的に。『十三機兵防衛圏』のシナリオは立体的。3Dになっているかのような構成。

引用:https://gamestalk.net/post-138357/

この立体的という表現、本当にピッタリだと思います。

シナリオ自体も非常に面白く、SF要素やタイムトラベル要素、学園要素etc…非常に多くの要素がこれまた複雑に絡み合い途轍もなく濃厚なシナリオとなっています。

一つの謎が解決するとまた新たな謎や伏線が貼られる。

その繰り返しなのに全くだれず、グイグイと物語に引きずり込まれていきます。 自分は先が気になりすぎて日常生活に支障が出るレベルで噛り付いていました。

 

ただ黙々と読み進めていくのではなく、様々な状況を自分の頭の中で整理し、そして一本の筋がビビッと通った瞬間の快感

他のADVでは決して味わえない爽快感を味わうことが出来る作品なのです。

 

凄いポイント③「キャラクター」

今作では実に13人ものキャラクターが主人公を務めます。

生きている時代や設定も全く異なる彼らは非常に個性的で、どのキャラクターにもしっかりと見せ場が用意されている為非常に印象的です。

そして何よりビジュアルが最高。

正統派美少年・美少女からチャラ系、ヤンデレ系、ヤンキー系等、ありとあらゆる属性が網羅されています。

性癖のデパート。

更に彼らは体のどこかに「機兵」を起動させる為のマーカーが撃ち込まれています。

そのマーカーを指でなぞる事で「START」の文字が浮かび上がり、機兵が転送されてくるのです。

 

このマーカーの位置が絶妙。

スカートをたくし上げて起動、背中を見せて起動、腹を見せて起動、鎖骨を見せて起動…

性癖のデパート2号館。

このマーカーはある人物によって撃ち込まれているのですが、その人物のクソエイムっぷりにただただ感謝しかない。

 

戦闘は好みが分かれる要素

追想編後の時間軸がメインとなる崩壊編では押し寄せる怪獣を相手に機兵を操作して戦う戦闘パートがメインとなります。

この戦闘システムは正直人によって好みが分かれるところだと思います。

ファイアーエムブレムやスーパーロボット大戦の様に互いのターンがはっきり分かれているのではなく、敵が自動で動いています。

その中で自機の行動を選択して迫る敵機をせん滅していく、いわゆる「タワーディフェンス型RTS(リアルタイムストラテジー)」と呼ばれる戦闘システムとなっています。

その戦闘画面も敵味方共に点で表示されるので非常にシンプル。

これをシンプルと捉えるか味気ないと捉えるかで評価は変わってくると思います。

まぁ、流石にこの規模の戦闘を全て2Dで表すと恐らくスタッフの中で死人が発生するのでしょうがないとは思います。

 

ただ、シンプルですがエフェクトは派手ですし、戦略性も高いので爽快感や楽しさはちゃんと存在しています。

ファンネル武器「インターセプター」は強すぎて多用すると一瞬でバランス崩壊しますが…。

 

自分の手でプレイして欲しい

以上がこの十三機兵防衛圏の魅力の一部です。

大まかに紹介しましたが、やはりこのゲームの一番のキモはその壮大極まるシナリオなので、まだ未プレイの人はぜひ手に取って実際にプレイして頂きたい。

プレイ動画も存在していますが、このゲームは自身の手で操作してこそその楽しさの神髄が味わえると思います。

複雑なシナリオや多くのワードを自分で整理し、少しずつ紐解いていく。

そして浮かび上がる壮大な真実に、きっと最後は圧倒される事間違いなしです。

多くのゲームに触れてきましたが、間違いなく10年に1本出るかどうかの傑作と言っても過言ではないと自信をもって言い切れます。

 

この作品を実際にプレイすれば必ずこう思えるはずです。

 

 

 

買ってよかったと。

そして

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